心冬/ただのみきや
 
否応なしに冬に抱かれ

吐く息
ひんやり
あたたかく

生業の向こう
透かし見る

見知らぬ男が 女が
子どもたちが厚着して

光片の海を泳いで往く
わたしはもういない

この立ち枯れた叢の
すべてを埋め尽す

白さのまえに
何の覚悟もないまま

吐く息
ひんやり
あたたかく

抱かれるままに縮こまる

ひとつの小屋が炎上する
火柱が遠景となり細く――



       《心冬:2014年12月6日》




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