秒速340メートル/keigo
それは秒速340mでやってきて
僕の胸に鈍い痛みを残した
君が涙と共に排水溝に流した澱を掬い
遠い夜に喰らった疼きに塗ったくる
いてえ、いてえと言いながら愛撫して
僅かにこぼれる蜜を吸う
途切れ途切れの思い出に滲むのは
君の泣き濡れた横顔
僕は怯えていたのかもしれない
君の笑顔が次の瞬間には凍りつくことを
幼い僕らの行き着く先が
とるに足らない場所だということを
ーあなたには未来がないじゃない
秒速340mでぶつけられた言葉を
後生大事に抱きかかえ
愛だ恋だと自惚れてた僕は
今日を限りに
もはや燃えあがることのないその想いを
夢の島へと送る
そんな勇気がやっと生まれた
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