ふゆのひかりについて、/mugi
 
得意ではない、
飛びかたをためしていた鳥の、
シルエットを真似て、
あるいはそういうタイトルの、
詩をかいて、
昨夜の微熱は冷えて、
花びらのような咳をした、
踏切がおりたままで、
列車はどちらからもくる気配がなく、
ひとと、くるまとが溜まっていくなかで、
迂回することと、
待ちつづけることのどちらが、
最良なのかを、
そんな些細なことでさへ、
決めるということに億劫さをおぼえる、
ふゆの鋭利なひかりが、
言葉と意識や、
情景と眼差し、
あるいはあの飛びかたのおかしな鳥を、
切断して分解して、
とあるふゆのあさが、
とあるふゆのあさであるように、
語りなおされてそこにある、




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