しわぶきとなみだ(五)/信天翁
 
   春待月の かぜとひかりょ
  街はずれのプロムナードでは
   ゆっくり 踏みとどまって
       奏でてくれないか
ベートーベンの交響曲「田園」を

  たとえ 家並みをそそくさと
     素通りしてしまっても
      干乾びた おいらは
いやされ 五年はわかがえるのに
       なんということだ

      おいらが立ち去った
        「時」の寓話と
       この先 往き付く
        「空」の神話を
      ささやいているとは







戻る   Point(0)