詩の一つの可能性/葉leaf
 
例ですが、一人称である自己を二人称、または三人称の位置に持っていくことで、自己を客観視することができるようになります。自己を「あなた」「彼」として、距離を持ってとらえ直すのです。さらには、二人称を一人称の位置に持ってくることで、他者をよりよく理解しようとしたり、二人称を三人称の位置に持っていくことで、他者をより大きな制度的なものとして理解しようとすることもできる。「あなた」の内部に入り込むことができるし、「あなた」をより複雑で客観的な構造を持つ者として理解することができます。
 このように、詩は人称を自在に操作することによって、自己を客観視したり、他者や社会を身近なものとしてとらえることを可能にします。これは、一人称原理から二人称原理・三人称原理を摂り込んでいくという人間の発達を促進します。人間として発達するためにも、詩を書くことは有効であると考えます。


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