皮と肉と/北井戸 あや子
 
無くしたものを数えていると

入ってきた物盗りが

骨髄を持っていってしまった

寒空の下漁り尽くされた

ワゴンセールの片隅に追いやられて

ひっそりと息を潜めている無力感と

錆まみれの劣等感で出来ている

あの骨髄に

なんの価値があるんだろう

誰に言うでもなく

片手で首を掻きながら

僕はため息をひとつついた

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