揺籃/はしごだか
 
とカーブ)


夢の暗部にランプを灯せば、
群がり集まる過去たちの幽霊
鼓膜の奥で久しく途絶えた、
張り詰めた磁場のかすかな揺れ


それら自分の声のエコーに包まれ、
いつまでもその喧騒にくたびれ、
あてど無い憧れにもてあそばれ、
どこまでも落ちて行く永遠のたそがれ


そこでは時折漂ういい匂いを嗅いだり、
愛着のある音楽を追いかけたり、
にぎやかでとてつもなくまぶしい光、
その中を一瞬だけ通り抜けたり…、


通り抜けても、通り抜けては、遠く隔たり…、
また元通り、
無限にひとり、
ひっそり、
ひっそり、
開いたり、
閉じたり、
伸びたり、
縮んだり、
しながら…

日々死にながらも生きながらえる、
この広大な宇宙の端に生まれた、
緊密な螺旋の上の一点のヒビ
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