a/中村 青
 
ひらり翻す スカートの裾は
真夏に蝉が鳴く焦げた匂いがします

身体に残る 幼い傷跡は
あどけない睫毛が世界を包む優しさに似ています

頭の中を充満する 疑問符は
染色液が空から降り注ぐ希望の音がします

混濁も塵滓もない 直線的な眼差しは
柑橘の皮を剥いた時の瑞々しさを感じます
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