Time Waits For No One/ホロウ・シカエルボク
 



古く錆びれたドアの前にはふたつの石が置いてある、ひとつの石にはわたしの名前、もうひとつの石にはあなたの名前が書いてある
ふたつの石は苔生して、きちんと目をとめて見なければきっとそれは土塊のように思われてしまうだろう
ふたつの石は結界のようにドアの両端近くにひとつずつ置かれてある、ふたつの石にはきっと祈りがある、それは体系化されたものではないけれど、では、そのドアを開けようか―?
ドアを開けるとキッチンがある、片付けられていて、朽ちかけて埃をかぶっているけれどある種の秩序がそこには保たれている、空気はしんとしていて静寂が騒がしい、すべての住人の居ない家がそうであるように
シンクに
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