名刺/葉leaf
 

果実のように丸ごと収まった

だがやはり名刺は石板でしかなかった
一度記された私の存在はいつまでも動かない
水のようにしなやかな私の変化に名刺は追いつかない
名刺の上には私の死体がよこたわっている
私はもうそこに書かれているより一層
社会にみなぎる生命を摂取し
夥しい責任を成果として社会に還流させている
生きた私はもうどこにも記されていない
名刺はもはや一枚の偽造文書
私はそこから社会へと限りなく溢れ出してしまう

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