鉄板焼物語/keigo
 
るから

仕上げに焼きそば投入
もうすぐお別れだけど
楽しみにしていたのは
クライマックスの焼きそば

ジュージューとソースの焦げる音が
胸に染みわたり
ー卵も落とそうかしら
ーああ、そうだな

そんな場所がまだあれば
僕は無敵でいられただろうか
どんなにしんどくても
まあいっかって割り切って
ただいま、って言えただろうか

滲む鉄板は
水蒸気なのか
あるいは涙のせいなのか
もう思い出せないほど
遠く離れ
明日にはもっともっと
遠く離れて
永遠に交わることはないけれど

ーほら、なにボーっとしてるの
ー冷めちゃうでしょ

時々思うんだ
時間が逆流して
また何事もなかったかのように
あの食卓に集まる日がくることを

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