詩人四態/山人
 
春になったら握り飯をもって山に行こう
ほつほつと出狂う山菜たちの
メロディーを聴きに
ポケットの中には手帳と鉛筆をねじ込んで
いただきに立てば、ほら
風が眠りから覚めて
息吹を開始する
虫たちもよろこんでいる
だから僕は鉛筆を舐めて
もくもくと詩を書くんだ
蝶々が飛び始めると
詩ができあがる
ほら、できたよ
詩ができた
だまって樹皮を舐めるカタツムリに
僕はそうっと詩を見せる
ほら、ぬめりのある皮膚が
よろこんでいる
僕の詩をよろこんでいるよ




寂れた地下室の中で、男たちは裸になり、互いの性器を見せ合っている
その大きさを競うわけでもなく、ただ
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