冬/葉leaf
 
宮のように入り組んでいることを実感していた。会社の仕組みにはいくつもの小部屋や隠し部屋、裏通りや隠し通路があり、派手に火を噴いている機関室や照明でいっぱいの大通りよりもそちらの方が重要だったりするのだ。合理的に筋を通された美しい茎のようなものの枝分かれから無数に反射される微細な光のきらめき、骨格ですら既に複雑で難解なのに、そこから閃いていく無数の細胞はもはや難解の域を超えて一種の禁忌ですらあった。ところで、冬のこの大気の沈み具合からくる異様な圧迫、これはどこか会社組織の難解さに似ていないだろうか。いや、ただ私は、たまたま二つの大きな難解さに直面している、ただそれだけのことなのかもしれないが。

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