星の王子さまによせて /るるりら
【見えない力】
桜の葉が
秋の雨に打たれて
石畳や道は艶めいている
やがて すべての葉は落ちてしまうのだろう
しんやりとした風に心を寄せると
桜の匂いがした
たとえ花はなくとも桜は さくら
花はなくとも 花のちからが
あたりに たちこめている
本を読むたのしみに似ている
心の目で感じる
花のかおり
【きつねだったんだな】
人を信じちゃいない頃
わたしは転校生で異邦人で宇宙人だったので
いつも本の中に 逃げていた
どうせ 友達なんて できたとしても離れなくてはならない
それなら はじめから 必要としないほうがまし
透明な檻の中に
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