畏敬する詩人達へ/梅昆布茶
 
無から生まれた訳ではない
原因があって生を得て
所在もない風来坊だが
ひなたぼっこの猫とあそんで暮らす

世界が仏頂面の上司だけで
構成されている訳でもないので
とりあえず仕事は好きだ

世の中が貨幣で交換されるような価値の
やりとりだけでは成り立っていないとの
蒙昧なおやじなりの
認識をけっこう大切にしている

死んでみないとわからないものを
恐れてもしょうがないが
それでも大胆不敵にも生きられない小心者
せめて息子達にはもう迷惑かけまいと
ちいさな保険なんてかけていたりする

木の股からうまれたのではない
木の葉の精に祝福されている訳でもない


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