魚は足をもつ/a_ya
まぎれもなく私の時代をつくってきた人たちが、
いつの間にか道の途中、押し並べて額縁の中。
わたしは、
ガラス張りの向こうのモナ・リザを肉眼で見ようとしない人たちと一緒に、
一方向に寄せるだけの波に混ざって、一瞬の邂逅。
感慨に浸る間もなく。
その肖像、その音源、その言葉、白い雪のように降り積もる。
立ち泳ぎで水を掻くような不器用さでも。
歩かなくちゃね、こうしている間にも、わたしの時間は爪先から砂に変わっていく。
いつか、わたしも誰かの雪と混ざり合えるのだろうか。
わたしには、まだ、歩く足がある。歩いている。
でも、たまにだけ、後ろ向きに歩くことも許してね。
額縁は遠のく。わたしの砂が線になる。
あなたと混ざり合って、誰かの道となれたなら。
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