外へ 夜へ/木立 悟
 






扉をあけると影が廻る
壁を舐める火が径を揺らす
空が巡り 落ちてゆく場所
行方と行方が重なる場所


冬の帽子
両腕をひろげ
花を呼んだ
名前ではなく
かたちではなく
ただそのものを


屋根の裏側に巣喰う径から
金と緑の物語
かけらとなって降りそそぎ
壊れた灯りをのぞきこむ


月との間にしるしがあり
指がゆうるり拾うとき
瞳には声 またたいて
灰と無の背にはじまってゆく


八に組するか五に組するか
蛾の羽の手を宙に溶かし
ただ透を見る 風を見る
片目を奪う風を見る


焦げる音
したたりおちる音
手の
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