濡れ落ち葉/為平 澪
都会の住宅街の歩道を 年末を迎えようとする空から
心臓に刺さる零度の雨が 濡れ落ち葉にも突き刺さる
若葉だった頃 親木が大切に繁らせた「父」という葉は
厳格ではなく 風が吹けば吹くままに
アッチにふらふら コッチにふらふら
やがては 対になった葉にすら 見捨てられ
結んだ木の芽に 軽蔑されて 罵声を浴びても
風の吹くまま気の向くままに 酒を飲んでは赤くなり
脅されては 青くなり やがて冬になる頃に
葉の先が黒く染まって 癌に巣くわれ血便垂れる
それでも 悔やんだ歳月を 取り戻すように
働くことだけやめなかった
(自分が死んだら 誰が家族養
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