雨音/吐水とり
街に降り立てばビニール傘が
しろい灯をあびて泡立ってる
一秒迷って そのまま あるいた
いつも他人の水を掬っていた両手に
排気によごれた透明なしずくが寄り添う
僕のからだは重い
いとおしいほど重い
死と詩と
思と止と
しとしとしと
コンクリートのトンネル抜けて
親指に通してもぶかぶかな感傷もてあましながら
あるく 雨と
溶けて流れていくことば
文字の滲んだページをめくるようなもどかしさ
指と紙と
私と姿と視と
しとしとしとしと
濡れないあなたにはただの雑音
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