知っている/ドクダミ五十号
ぎゅっと締め付けられて
胸から瞳に溢れる
涙の味を知っていた
栄養失調の
両頬のはたけの真ん中から
二筋伸びる貧困の青っぱな
その味も知っていた
いくら労働が美徳だか知らないが
貧乏神に追いつかれて
引き離すべくの労働で
機械油と汗でてらてら光る
そんな額の様も知っていた
色々と知っていた袖よ袖
なあ袖よこれから何を知るだろうかお前は
あまり良い事は起こらないかもしれない
世話になってばかりの俺だからね
きれいに洗ったつもりでも
袖を見ると味や臭いや色がついている気がする
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