手をとる/鵜飼千代子
 
佇んでいたのだろう
あの時のわたしは

苦手なことを並べた
傷付きたくなかった
それでも出会いを求めて
やって来た

缶ビール片手に
やわらかな言葉で話す
路上に座り込み
生活者と一緒に飲んでいる

道路使用許可について問いかけた警官に
食いついて行く、静止しようと仲間が羽交い締めにする

「ああ、そこに精霊が、、、」
と、目を泳がせ
それに同調する人もいる

高校の新入生歓迎会の時に
新入生を弄るために行われた
「カトマンズ」というゲームのアレンジのような申し合わせなのか
本当に見えているのか
わたしにはさっぱり見えないので
考えていた


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