ほんにんれき/nemaru
ったはずだったのに、結局、満たされていない。 空洞な事に気づくばかりで、誰も案外そうなのだ。 とりあえずの埋め合わせのなかで、少しずつ忘れ去っていかないと、大人にはなれない。 車に乗りたい。就職したい。金がほしい。 そのために、人と絡み合いながら、手に取れるほどの、一番近くにある欲を見つけて、ひとつずつ、かなえていく事が必要だとも思う。 彼女を助けたい。彼女のひどい環境を変えてあげたい。 そのせいで、彼女の目が覚めて他の人に目移りしてもいいだろう。 その時、自分がぼろぼろになっていてもいいだろう。 今の、彼女のひどい環境のなかで、自分のような人間にしがみついている事を、 利用して、付き合い続ける卑
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