安全地帯の変死体/ただのみきや
 
うるむゆきのはざま
ぬれ落ち葉にそっと載せた瞳の過食
遠く翳る今を汲む オト ノ
のたうつ沈黙
噛み締められた貧困が小走りで吹き渡る
さざなみのような オト ヘ
欹てては刎ねられたこの両耳を手向けよう
サクシュスルモノサレルモノ
縫い合わされた翼の中で震える血袋
錆びたイデオロギーの小刀による 
玉虫色の割礼痕の疼き
真夏に滾る夢を上手く鎮火して
文脈をわきまえた無害な小悪党となる
飽食の飢餓に狂った子供たちは
互いに噛み合いまた己を噛む蝗それが
時代がこじ開けた解答だと言うのなら
堕落しても腐敗を許さない
冬の懐に仕舞われて
ひとつの死(あるいは詩)の公式が
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