ニューハーバー/草野大悟2
して。藤本智子と言います。今日からここでお世話になります。よろしくお願いします」
女は週刊誌から目を上げて、「あっ、高木フサ子です。よろしくね」と、人なつっこい笑顔を浮かべた。
「ユリさん、ご指名のお客さんだよ」
受付の男が、フサ子を呼びに来た。
「あ、あたし、源氏名はユリっていうんだ」
フサ子はそう言って控室を出て行った。
一人になった智子は、フサ子が置いていった女性週刊誌を手に取った。しばらくそれに見入っていると、部屋の襖が開いた。
「ランさん、お客さんです。お願いします」呼び出しがかかった。
客待合室に行くと学生風の男がいた。
「ランです。よろしくお願いします」
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