ニューハーバー/草野大悟2
く後ろ姿をただ見つめていた。ふいにあの時の裸が浮かんだ。「智子、行くな!」大声で叫ぼうとした。声が喉の奥で萎縮したようになって出てこない。智子の姿がぐにゃりと歪み、消えた。
「野原さん、結城と智子がいなくなった。あんた行く先知らねぇか?」山口からの電話だった。
「えっ! 本当ですか?」
「あゝ。俺も信じられない。あの結城が失踪するなんて。野原さん、田桜があいつを追っている。俺は田桜にあいつを殺させたくはない。せめて自分の手で殺してやりたい」
野原は会社を飛び出した。行く当てなどなかった。東海道新幹線乗降口、バスターミナルなどで、二人の風体を告げ、闇雲に職員に聞いて回った。
なんの
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