ニューハーバー/草野大悟2
筋書きだった。
主婦役を演じていた渚に妙に惹かれるものを感じた。終了後、校舎内に設けられた楽屋に渚を訪ねた。メイクを落としてもくっきりした目鼻立ちをしている。智子は、渚を大学近くの喫茶店に誘った。
「今日のあなたの演技は素晴らしかった」、そう言うと、渚は嬉しそうに笑った。
その後何度か会ううちに、渚が西橋のゼミをとっていることが分かった。智子は、ある計画を持ちかけた。
黙って話を聞いていた渚は、「それだけやって三百万ですか? 命がけでやるんですからせめて五百万になりません?」智子の瞳を真っ直ぐ見つめて言った。強い光を放つ瞳が彼女の意志の強さを物語っている。
智子は、その申し出を受
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