ニューハーバー/草野大悟2
 
被疑者供述調書が読まれていった。調書は、西橋の身上関係調書と被疑事実関係調書の二通が作成されていた。
 西橋は、被疑事実に関する調書のうち、具体的な性交場面の部分を、あくまで、遠山渚の方から積極的に要求してきた、とのニュアンスが強く伝わるように、五カ所の訂正を申し出た。
 検事はそれらを訂正し、「これでいいですか?」と、一つ一つ確認を取り、調書作成を終えた。訂正箇所への指印、『上記のとおり録取して読み聞かせたところ誤りのないことを申し立て署名指印した』との奥書の下に西橋の署名指印を求め、調書を締めた。
「西橋さん、今日はこれで終わります。ご苦労さまでした」
 検事は笑顔で西橋にそう告げ
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