鬼映/ただのみきや
 
青臭い茎を裂いて
心地良さげに破綻の痛みを噛み潰す
細道だらけの旅が古着のように似合っていた
友よ 
ただただ蠱惑な蛤の歌声が
あの括れた坂道から
忘れ物の顏でそぞろ出でる
ああ無明のチルドに眠る越冬のたべもの
目の中の蛙飛び込むユメの音


ふざけすぎて死なせてしまった
鬼灯色のあの場所で
玩具で殴られた傷口がニッと嗤う


零 時の不在
唇がどこか白っぽく腹を空かして
落下した咽頭をかすめ冷たい幻塊が
苦い闇の洪水をもたらす
遠く熾火のような具象の声音
ぬるい繭で変態するわたし以外全て

友よ 馬鹿死にの
もうお呼びじゃないよあの頃は



              《鬼映:2014年11月17日》





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