『サフランの髪飾り』/座一
 
ライドが高いということ。空より高い、重力よりはねかえす。どこかの国の王さまのそれよりも。完ぺきにやりこなすといった強い意志と、持って生まれた運の良さと、匠の領域の才能と、その他、さまざまな奇跡を丸のみにしているような威厳があった。
だから「必ず運んでくれる、必ず」と、マリークロッカスはその頬をなでた風に敬意を称して、安心して突風列車の最終両に乗り込んだ。
イナフは一両目に乗って、てのひらを胸にあて、不安が飛び立つ方向を、ゆっくり探り当てると、ちょっとだけ車窓を開けて、深く息を吸ってからをため息を吐きだした。黄色と白の小さな花びらたちが春風のあおに『厳しいよ、もっと易しく』と問かけるように散らば
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