『サフランの髪飾り』/座一
 
い?」
栗の木坂先生は、低い声でマリークロッカスに尋ねた。
「追いかけているというか、知りたいんです」
マリークロッカスは、自分で言って、自分で驚いた。
ここまで来たのに理由などなかった。ただ吸い寄せられるように、運命に逆らわずにいたら、ここに来たという感じだった。でも『知りたい』、そう言えば、自分は知りたかった。
イナフのこと。それは自分を知ることでもあるような気がしたからだ。
「知りすぎてもいかんのだよ」
そう言って息をついた栗の木坂先生は、一駅先で降りるとき、振り返って、
「キャンディーをなめ続けるんだ。生きて帰りたくば」
マリークロッカスはその意味がわからなかったけど、重
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