氷片に落ちるキャンディのエリザベラ/佐久間 肇
唐突に ざわめき始めた夜のいとまに手を伸ばす
鍵括弧と 鍵括弧の中に押し込めてしまう
かなしみや さみしさを
あなたは知らず
いいえ 知ろうともせず
いいえ 知ることもなく
恨むくらいなら 愛してみせるわ と言って飲み干す
今夜 あなたとわたしの鍵括弧の中にできた窪みに 溜まった水を
ごくり
ごくり
ごくり
ごくり
ごくり
・・・
手が冷たいわ こんな真冬なのに
どうして馬鹿みたいに原色の小鳥が飛ぶの?
あんなに必死に羽ばたいて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)