実は/ドクダミ五十号
 
干瓢巻きは
難しい
お客様にお出しするまで
手間も時間も
職人の真心も
たっぷりとかかる

干瓢は戻す前に
海苔よりいくらか短い板に
巻きつける
余りを切り落とす
そうすると煮たあと
ちょうど良い長さに
切り落としたのは棄てない
散らしに使える

海苔は仲買人から買うが
海苔の売買は一種の博打
お茶もそうだが少ない見本と
値段で選ぶ
感が良く儲けに走らず
人の良く信頼できる仲買人と
懇意になるのは難しい

戻した干瓢は塩水でもみ洗いし
そしてほんの少しの塩を加えた水から煮る
砂糖と味醂と醤油を加えるのは
歯ごたえを残しながら柔らかくなる寸前

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