ひとつ あまた/木立 悟
 
までもどこまでもつづいてゆく


雨が原を照らす
水の手がじっと握る
何も見えず晴れてゆく
一ツ目の樹
一ツ目の闇


霧へ倒れてゆく日々の
影と音が交差する
光より右へ 光より右へ (光より)
声の立体がこだまする


踏んでは廻る
踏んでは廻る
ひとつの歯車
原を廻す
雨を廻す
響を返す


水 姿 音
手のかたち 指のかたち
分かれ 分かれ
そよぐもののそば
そよぐものに添い
そよぐものとなる


粉より小さな
光を光にするものがあり
午後でも真昼でもある水辺の
とどくようでとどかぬ枝に
霧の標
霧の地図をはためかせてゆく
























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