ひとつ あまた/木立 悟
弱い光のひとつひとつが
羽になり また花になり
触れることなく消えてゆくとき
熱を終えた鉄のような
緑の音を降らすとき
歪んだ金に ふちどられた声
ほどけひろがる 一瞬の紋様
銀に濡れ 銀は去り
金は離れ 声は残る
高圧線をわたる光を浴び
土に彫られたものがゆらめく
粉の音 水のにおい
遠い遠い 遠い水
指の輪から
空へ至る
源の無い水
光の柱
歪んだ金と
緑の声
際限の
際限の無い径
何かがひとつ
魔をまとい
水の奥の暗がりを見つめ
光と光が
手をつなぎ
けして何かのためにではなく
どこまで
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