梳く手 こがね/木立 悟
 



階段の踊り場ほどき火を編む手



季節さえ知らぬ存ぜぬ仮(け)の柱



言葉には言葉の垢の漂いて



自身(おのれ)には自身(おのれ)を呑む手いさめる手



触れるたび考えぬ脳ふえてゆく



ひといきれ午後の曇りの指ひとつ



わたしとはわたしをとどめておく火種



斬れば斬る斬らねば斬らぬ耳年増



鎔けかけの半身をただ傾ける



水紋の羽の群れ吹く黄金舟















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