夜のホーム/葉leaf
夜中の駅のホームで
人々は抜け殻になっている
自分が自分であることも忘れて
次に来る電車の上に心臓を預けてしまっている
今日どんな仕事があって
どんな成功と失敗があったか
仕事と生活の継ぎ目であるこのホームでは
全てが忘却され
人はスーツの中身を空っぽにして
冷気を際限なく集めてしまう
人はこの世のささやかな中継地点において
仕事の人でも家庭の人でもなく
数限りない街の灯りと同じように
休憩のための灯りをともす
存在することを休憩し
誰かであることを休憩し
その灯りの中で
明日と今日と昨日とが
いつまでもランダムにシャッフルされている
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