見えない世界に詩があるのだという常識/天野茂典
ひゅんひゅんと北風はめぐり
ぼくはタバコの火をつけられないでいる
詩を求めて詩から放り出され
いくらタバコを吸っても安息は得られない
一月は何とか切り抜けた
あしたから二月だ
『われらが不満の冬』といったのは
スタインベックだが 不満は
ちいさなポケットを溢れようとしている
バスの時刻表も明日で変わる
学生がいなくなるからだ
若い命はいい
こころがはなやぐ
未来があるからだろう
学生たちの賑わいをかいたこの町は
四月までは廃墟になるのだろう
われらが不満の冬よ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)