同じ道を歩いてない/裃左右之介
オレのゲーハナやや伸びるにつき寄る年波を感じざるを得ない。
随分前に隣にいた、気の効いたあの女ならば「何を言ってるのだ?」と白々しく顔をしかめて言い放つところを、今、ふと隣をみるとやたら困った顔をして遠くを見る別の女。
そもそも随分前に隣にいた女といっても、特に気が効いていたわけではないことを今思い出して赤面、およびつかの間の動揺。
また今隣にいる女とは書いたものの電車の席の隣に座る女は見知らぬ女だし、そもそも目をチラリやるとゆうに60は超えている。
60オーバー、アンダー70。なんの代表戦だ。
先に動揺などと書いてみたけどなぜ動揺する必要があるのかと考えるに、刹那、数珠繋ぎに色
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