ノート(吹光)/
木立 悟
動かない音が迫るときはいつも
道の肋骨を歩いているときだ
誰にも気づかれぬまま
逝った道の
無色の夜の分身が
道の骸に降り立ちて
小さな手足をのばしては
照り返す光に泳いでいる
雪の奥から声は目覚めて
外灯の影を滑らかにする
あとひとつだけ言葉を届けたら
雪は雨になれるのかもしれない
誰もいない日曜日の
吹雪の道を流れゆく声
浅い足跡のかたちの光が
骨の上をまたたきながら
骨の上を遠去かる
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