TRICKSTER/ただのみきや
サイドミラーに小さな蜘蛛
縁を歩けば一人
面を歩けば二人
奇妙なポーズ
虚空と戯れる長い脚
見えないイトで織りなす罠
偶然と必然の色分けは自分
幸福と不幸を計る分度器も
鋭角――痛み悲しみの先端よ
いったい幾つ集まれば円満の喜びに至るのか
すべてが筒抜けの空の下
西日がニヤリと覗き込む
達観したふり
顏は伏せずに焼かれるまま
後悔はしない
したくない
そうやって生きて来て
ほとんど全てのことを後悔している
車は前へ進んで往く
おれはミラーを飽きもせず覗いている
遠ざかる景色 いよいよ小さくなり
記憶――真実と偽りの混合物は
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