なかったことになりました/ユッカ
 
りする。こんな季節にはそれが寒くてしょうがない。肌にできるあわを鳥肌と言うよね。体の中は水なのに、鳥になんてなれないのに、へんね。

さっきから、右に左に、改行されては消えていく、渦巻いている想いに形を与えてほしくって、大切な人を呼び出して言葉をさがしてもらってしまうけど、ほんとはさ、わかるはずもないんだよね。あなたはわたしの辞書じゃないんだから。

どうしようもなくなって、いましめに、書いたものを全部消してみようとするけど、そんなことしたって間違えたわたしがいなくなるわけじゃないし、せいぜい、お風呂であったまって寝るかって、とこかな。

この感情をなくしてしまう。火照りながらたしかにここで、渦巻いていたはずの、大事な感情をすべてうしなってしまう。黙ってふるえていることができない、わたしは今も感情を改行している。
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