盛り雪/藤鈴呼
この 幾つもの 冷たい雪の奥に
円みを帯びた いつかの思い出が
きっと 詰まっているのでしょう
切っ先鋭い 刃のような言の葉
告げた方は 体よく忘れて 生るのです
継げられた者のみが 苦しみに 蹲るから
盛り雪
盛り土では 有りません
御存知ですか
もりつち では 無いのですよ
もりど と 読むのです
避けないで 下さいね
過ちは 責めぬと
何度も 申し上げて おりますでしょう
瞳を 上げて くださいな
その上で 真実を 一粒ばかり
わたくしに くださいませんでしょうか
きらきら と またたいて いなくても
良いのですから
陽射
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