宮澤賢治 文語詩未定稿『雪峡』の鑑賞のために/Sabu
 
解説にもあるとおり「神楽を敬っていう語」という理解でよいと思います。

 そもそもこの文語詩にうたわれた情景の中にある「み神楽」は、山里に古くから伝わる神楽がふさわしく、Giton氏がいう皇室行事の神楽では場面が唐突に過ぎて、前後の脈絡がちぐはぐになります。詩の情景として山里の神楽が想起され、意味としては、「御神楽」や「里神楽」のような対比区分を超えた原初的な「神楽」、もしくは「神遊び」の象徴として鑑賞したいと考えます。

◆「なだれ」か「吹雪」か、遭難譚の「口碑」と「神楽」との相互関連について。
 この文語詩の下書稿には「なだれ」という題が一度あらわれ、後に消されています。
そのよう
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