キッチン/そらの珊瑚
 
私が
どうしておばあちゃんに向かってもう私赤ちゃんじゃないって言えるのさ

かんしゃくを起こして火に投げられた竹子は
とうもろこしの髪は猛スピードでちりちり焦げ
それから爆弾のようにはぜて
燃えて
灰になった

ずっと友達だよって言ったのに
約束にも、しおどきがあるのだろうか

今、私の「だいどこ」は本土とつながって
蛍光灯が隅々までまぶしく照らし
それは影でさえあっけない明るさを持つ
スイッチひとつで料理できて、しかも時短で快適だ
マッチもなければ火もない
いぶられて涙が出ることもない
いったいぜんたい、どうやってうどんを煮込むの? 
と竹子は驚くに違いないだろう
けれども一日の終わりにひとりシンクを磨き上げる時
あの島に吹いていた
とうに失ってしまったと思っていた
愛おしさにも似たさみしい煙がよぎっていく

みすぼらしい私の竹子
私でもあった竹子




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