地には平和を/大島武士
月に一度も血を見ないよ
だけれど大人になっても筆記体を
上手に書く事の出来ない僕は
いつも乱暴に言葉を書き殴り
きれいなノートをくしゃくしゃにして
電車を降りて 改札くぐって
最後は歩いて 人に会いにゆく
感情を 分かち合いたい
人のもとへ
憎しみは愛によってしか
終わらないなんて事に気がついても
僕は 愛しい世界をホウキではたいて
痛みに飢えた気分になったら
反対側の頬をさしだすよ
いつでも血の匂いに飢えているけれど
争いが溢れるこの地上が
すべて愛だと感じたいから
自分の優しさをののしりながら
平和に暮らしたい
おだやかにおだやかに
柔らかい言葉で傷つけあっても
すこやかにすこやかに
分かち合った痛みをいとしんで
世界の優しさに眩暈を覚えて
反対側に突き抜けろ
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