雨の夜に火花を飛ばす/カマキリ
 
赤いランプがカンカンと
向こう側とぼくを遮断していく
雨とガラスで閉めきった車のなかは
言いようのない層ができている

後部座席は少しだけせまくて
その季節はだんだん寒くなっていって
掴んだものは本当に毛布だったのかも分からない

砂時計よりも遅い意識の落ちる速度
覚醒とまどろみの間で見えたのは花火だったのか
たぶんあれは
轟音と、雨の夜に火花を飛ばすパンタグラフ
周りの温度と同じになっていく
たぶんあれは
轟音と、雨の夜に火花を飛ばすパンタグラフ
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