引け目/深水遊脚
 
 5回に2回しか考えていることを言葉に出さない そういう私の上澄みを皆が好いてくれていた 淡白であとを濁さない演技で 私なりに道を極めていた 対話を悲しみでもみ消す以外の表現をまだ知らなかった 時には隠した5分の3がいつも行く場所を求めて あてもなく散歩していた それくらいには自由だった

 放っておかれることが快いこともある 知らずとも想像くらいはできるだろうと 甘く見積もることをやめたのは随分まえのこと まず5分の3が要求され 断る理由がないので見せると すかさず5分の4が要求される それが当然でそうするのが優しさだと決め込んで疑わない 残りの5分の1は要求されることはない 5分の4が全て
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