あの日のブタと/オダ カズヒコ
 

ブタはぼくにきゅっとウインクしたが
はっきりいって 気持ち悪かった

買い物を済ませるとぼくは愛車のアテンザにキーを差し込み
ブルンと捻った
缶コーヒーのプルトップをパキっと起こし
一口飲み干すと
さっきは悪かったな
後部座席を振り返ると
コンビニのブタが縞々のパラソルを差したままぼくの顔をじっと見ている
ブタ!今すぐ降りろっ!
おいおいブタって失礼だな
彼は肩をすくませ 半笑いで応じている
そして短い足をきゅっと組み
後部座席にもたれかかり
これからどこへ行くんだとかトボケたことをいっている
家に帰るんだよ!
なんだ?お前一戸建てか?
つまりそのなんだ?
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