大人の国/salco
便乗したくせ離れて行くね
大きくなっては仕方がないさ
はしゃぎたいのは大人も同じ
だのに外しが過ぎて悔んだり
「お菓子くれなきゃ
いたずらするぞ!」
練り歩く子らの後ろには
離れてひとり普段の子
遅れまいとついて行く
風にはためく薄物の
みっともないほど汚れたなりで
ひときわ蒼い顔をして
呼ばわるでなく泣きもせず
先行く子らは知らん顔
気のつく大人も見咎めない
散歩の犬さえ嗅ぎつけない
そこにいないからだろう
いつぞや夏に殺されて
どこぞの林に埋もれてるのさ
さあさあ!そろそろ遅くなる
招かれざる者専用の
いつものこわい世が迫る
もらった子らには戻る頃合い
大人も戸締まり店じまい
だから今年も二叉路にひとり
どこかわからず立っている
呼ばわるでなく泣きもせず
国の時計の針はどれも
ひとえに天を指すのに誰も
探してないし連れてかない
ケリドウェンも寝屋へ行き
人っ子ひとり通らなくなり
帰りたいのにわからない
親に殺されたのだから!
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