お告げ/梓ゆい
良縁を感じた日
ランドセルを下ろした少女と
話をしよう・・・・。
一つの終わりを迎え
受け入れることを拒み
返して返してと泣く
少女の傍らで・・・・。
(20年後、小さなカフェのカウンターで詩の朗読を聞きながら、
声の主を好きになるでしょう・・・・。)
「それはどんな人?
何故出会ったの?」
空気の振動を伝い
温もりを感じ取るたびに
傍らの少女が話しかけてくる・・・・。
(終わりを迎え、更なるものが残ると理解をすれば
手放せない物も増えるでしょう・・・・。)
ワインを含み
朗読の声に目を閉じれば
少女の顔のモザイクが薄くなる・・・・。
では、行こう・・・・。
「もうすぐ家を出る新入生。」
では、行こう・・・・。
「大きなお腹のお母さん。」
では、行こう・・・・。
「流行(はやり)に飽きた女学生。」
では、行こう・・・・。
「ランドセルを下ろした、かつての少女。」
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